おうむ姐さん

おうむ姐さんは繰り返すことしかできないから。
「好きだよ」「好きだよ」「ホントに」「ホントに」
繰り返すことしか出来ない、だから何度も繰り返す。
「好きだよ、好きだよ、好きだよ、好きだよ」
これしか伝えるすべはない。
どうか、どうか。この恋の喜びが、貴方に伝わりますように。

おうむ姐さんは繰り返すことしかできないから。
「ふざけるな」「ふざけるな」悲しい顔で口汚く罵る。
彼の怒りを和らげる言い訳一つできやしない。
「バカヤ ロウ」「バカヤロウ、バカヤロウ、バカヤロウ」
繰り返したくなどないのに気持ちが言葉を依り代にする。
「バカヤロウ」違うのに。

おうむ姐さんは繰り返すことしかできないから。
「別れよう」「別れよう」別れたくない、そう言いたいのに。
彼を引き止める言葉が出てくるはずもないのにま るで奇跡にすがる様に何度も何度も繰り返す。
「別れよう、別れよう、別れよう」
けれど言葉が連れてきたのは哀しみとそして現実。

おうむ姐さんは繰り返すことしかできないから。
だから今はどんな言葉も話せない。
思い出を反芻したなら何故か楽しいことばかりで。
一緒に笑って、笑って、 笑って。
おうむ姐さんは繰り返すことしかできないから。
だから歌う。
美しいとは決して言えないその囀りで次の言葉を、恋を探す。