イプシロン

みんなの期待が飛び立つことなく立ち尽くしたあの日。僕のポケットの中ではもう一つ、期待が立ち往生していた。
タイミングを失ったまま、今もそれは僕の部 屋に眠る。
ねえ、イプシロン再挑戦だって!と興味津々の彼女。そういうのって応援したくなっちゃうねって。
そうだね、うん僕も。

あの日、私の希望は二つとも叶えられず終わった。
繋いだ手と手、その反対側のポケットに隠されたままの希望に私が気づいていたこと、彼は知らない。
がっかりしたって始まらない。
イプシロンが今日もう一度飛び立つって。
ね、応援しよう。応援するよ。するんだから、ね?
3,2,1

 

カウントダウンゼロで言いたかったんだけどそんなの無理でさ。
カウントダウンゼロで言わせたかったんだけどそんなの無理だわ。
一緒に口を開けてポカンと見てた。
「あのさ」「あのね」「「結婚」」「しようか」「してもいいわ」

「あ、」帰り道、ポケットの中には渡し忘れの婚約指輪。