タイムカプセル

タイムカプセルを埋めたのはいつだったか。妻を埋葬する時に思い出した。
記憶を辿り訪れた場所には一面の千日紅。妻の好きな花だ。
躊躇いながらもその護り を破る。
78年ぶりの太陽の下、掘りだした箱には「お慕いしております」の文字。
まだ字も解らぬ幼い頃に二人で埋めた物なのに。

タイムカプセルはどうなったかしら。癌と診断された時に思い出した。
病気を悟られたくなくて私は一人あの場所へ向かう。思い出以上に森は険しく月日の長さ を感じさせた。
あの人が簡単にこの場所をみつけられますように。
私は千日紅を植える。たまに訪れ詰み帰り、大好きな花よと飾る。

タイムカプセルを埋め直した。
中に入っていたあの日の宝物をもう少し大きな箱に移し、それから先の僕らの歴史も付け足して。
土をかけてもう一度千日紅を植 え直す。妻が時々摘んできて居間に飾っていたのはきっと。
いつか花が綺麗に咲いたら今度は僕が摘みに来よう。君に贈る一輪の花。