タンポポ娘

「痛っ!食べるならキャベツにしなさいよね」
タンポポ娘は葉っぱを逆立て怒ります。けれど青虫は知らんぷり。
「枯れたら夢が叶わないよ」
夢は一等綺麗な綿毛で遠く旅立つこと。広い世界を見てみたい。
いなくなるくらいなら枯れるがいい。
あの日君が目覚めてからずっと。僕はずっと。

枯れずに育つあの娘を直視できず、僕は自分の中に閉じ籠もる。
どれだけ経ったか。久しぶりのタンポポ娘は白い綿毛を誇らしげに頭に戴いていた。
君はとうと う僕を残していくんだね。
「さあ行こう!」
誘われて戸惑う。
「やだ気づいてないの?ほら!」
青虫だった僕の背中に震える白い羽。