酒蔵の女神

ダメだよ怒られちゃうよ。
酒蔵で遊ぶ女の子を見つけた。
女は蔵に入っちゃいけないんだ。
杜氏に見つかる前にと白い手を掴むと彼女は目を丸くして、遊んでく れるの?
可愛らしく笑うから草原で白詰草の冠を捧げた。
子供の僕には解らないがその年の酒はやわらかな春の香りがしたという。

酒は作り手の心を映す。厳しく育めば辛口に。優しく育めば甘口に。
人気の辛口を守るため、うちの蔵ではそれは厳しく当たっていたというのにこの甘さは一体。
坊ちゃんとあの子が手を繋いでいるのをみた。
甘さの理由に思いあたるとどこか寂しくて、酒を呑んではまたその甘さに涙する。