電信柱の森

リスの親子はいそいそと森の奥へと向かいます。
越してきたばかりのこの森の長老の木にご挨拶に伺うのです。
この森の長老は特別で、世界がまだ人間のものであった頃にはここにいたというのです。
はじめましてこんにちは。
異形に目を見張るリスの親子。長老の名は電信柱と言いました。

怖がらなくてもいいのだよ。電信柱は笑ってそれから昔話を始めます。
昔の私は太陽にだってなれるくらいに素晴らしかった。
けれど今では何にもできない。人との絆を失くした時から立ってるだけで精一杯。
長老の話にリスの子供は首を傾げました。そして帰り道、母親リスに言いました。

長老さんは嘘つきだよね。長老さんは太陽なのに。もしかしたなら見えないのかな。
巻き付く蔓や寄り添う花やそこに集まる虫や鳥を。太陽みたいにぽかぽかだから、みんなが側にいるのにね。